島根県の隠岐の島町。
日本海に浮かぶ隠岐諸島最大の島、島後島(どうごじま)に位置するところ。
お隣の島前に属する、海士町、西ノ島町、知夫村とともに、この隠岐諸島を盛り上げているのです。
ここから173km北西に、韓国との領土問題で取り上げられた竹島が位置しています。
実は竹島、この隠岐の島町に属しているんですよ。
あまりに離れすぎてそんな感じはしませんが、まあ東京都で言う小笠原諸島のようなものですね。
まだまだ島固有の動植物がたくさん生息する隠岐の島町、いったいどんなところなのでしょうか。
隠岐の島町がある島後島は面積の8割が森林ということで、その環境が生み出した自然景観は見応え充分。
ということで、そんな自然を中心に町を大きく4つのエリアに分けて紹介していきます。
まずは、北西の五箇エリア。
ここには「隠岐といえば?」というときに使われる風景で有名なところがあります。
それは、ローソク島。
海上にそびえ立つ高さ約20mの島で、日没時に夕日と織りなす景観がまさに絶景。
隠岐の島町でNo.1と言っても過言ではないかもしれませんね。
ぜひローソク島展望台からじっくり見ていただきたい景色です。
これを間近で見るためのローソク島遊覧船も、日没時間に合わせて重栖港から出ているのでおすすめ。
そして五箇エリアには隠岐における由緒正しきところが2つあります。
それは水若酢神社と伊勢命神社。
どちらも平安時代にまとめられた日本全国の神社一覧である延喜式神名帳の中で、格式高い名神大社として記されており、隠岐四大社のうちの2つでもあります。
前者は毎年5月3日に水若酢神社祭礼風流という隠岐三大祭の1つが開催され、後者は無形民俗文化財である久見神楽が見られることで有名です。
また水若酢神社のすぐ近くにあるのが、
竹島についての貴重な資料を見ることができる洋館風建物、隠岐郷土館。
隠岐の伝統である牛突きや古典相撲の資料を鑑賞できる、五箇創生館。
島固有のオキシャクナゲをじっくり見ることができる、村上家隠岐しゃくなげ園。
土木遺産にも認定された、福浦トンネルなど。
見どころ満載となっています。
次に紹介するのは、北東の布施・中村エリア。
こちらも風光明媚な場所がたくさんあるところですね。
まずは、隠岐の島町最北端に位置する、隠岐白島海岸と白島展望台。
眼前に広がる大小の島々が織りなす景観は、見る価値が十分にありますね。
展望台からでも十分綺麗ですが、物足りないというはそこから2km先の海岸まで行けば、さらなる迫力を体験できることでしょう。
海岸と言えばもう1つおすすめなのが、浄土ヶ浦海岸。
島の真東に位置しており、そこに広がる透き通った海はもう圧巻。
あの一休和尚も句を読んでしまうほどの綺麗さです。
近くにはキャンプ場もあるので、家族連れにもおすすめできるスポットですね。
そして少し神秘的な光景に出会えるところを紹介。
隠岐自然回帰の森に位置する、岩倉の乳房杉(ちちすぎ)。
なんだそれはと思う方もいるかと思いますが、これがまた立派な杉の大樹。
隠岐の島町最高峰の大満寺山の麓にある、島後三大杉の1つ。
その立派な幹から大小24もの鍾乳石のような形をした根っこが垂れ下がっており、これが乳房に見えることからこのような名が付いています。
そこから少し北西に行ったところにも、島後三大杉の1つであるかぶら杉が生えています。
これの見どころは根元部分から6つに分かれて上に伸びている、その奇妙な形。
どちらもその幻想的な雰囲気に、きっと心奪われてしまいますよ。
3つ目のエリアは南西に位置する、都万エリア。
ここは夕日が綺麗なスポットがたくさんあります。
その中でもひときわ目を引くのが、油井の前の洲。
隠岐の島町の中でも一番波食棚が大きいところで、波の影響を受けにくく穏やかなことが多いらしいとのこと。
なので夕日と相まって、ボリビアのウユニ塩湖のような、あんな写真が撮れるんだとか。
一度行ってみるのもいいかもしれませんね。
そして個人的に訪れてほしいスポットがここにあります。
それは、壇鏡の滝。
日本の滝百選に選ばれており、高さ40mから落ちてくる光景はまさに絶景。
滝を裏側から臨むことができる裏見ノ滝でもあるので、どちらからでも楽しめちゃいますな。
すぐ近くには湧水があり、日本名水百選にも選ばれています。
万病に効くという噂があるので、遠方から汲みに来る人がいるほどなんだとか。
他にも、きちんと整備されたゆったりできるところ、亀の原水鳥公園。
白砂青松百選にも選ばれている、屋那の松原。
夕日スポットとして外すことができない、那久岬。
島の宝百景に選ばれた、船小屋群など。
ちなみにこの都万エリア、ここでしか体験ができないものを詰め合わせた体験ツアー、「お都万みトリップ」というものが用意されているので、それを利用するのもおすすめです。
カヤックやクルーズ、岩牡蠣の仕事体験など貴重なものばかりなので、一度トライしてみてもいいかもしれませんよ。
最後に南東に位置する隠岐の島町の玄関口、西郷地区。
西郷港と隠岐空港、通称隠岐世界ジオパーク空港が位置しており、ここから隠岐の島町での旅がスタートします。
港を出るとすぐ目の前に大きな建物が出てきます。
これが隠岐自然館で、隠岐の自然や歴史、成り立ちを学ぶことができる素晴らしい施設となっています。
建物内には観光協会も入っているので、着いたらここで情報収集しておきたいところ。
この西郷エリアにある由緒正しき神社が、玉若酢命神社。
先述した水若酢神社と伊勢命神社と同じ隠岐造り建築(春日造りや大社造り、神明造りを組み合わせた特殊建築)で、ここが最も顕著に見ることができます。
毎年6月5日には隠岐三大祭の御霊会風流が開催され、何頭もの馬と共に町中を走り抜ける光景は圧巻です。
ちなみに隠岐三大祭とは、この御霊会風流と水若酢神社の祭礼風流、そして武良祭風流という町中で10月9日から20日の12日間も開催される祭りなので、頭に入れておいても良いかもしれませんね。
また玉若酢命神社の境内に、隠岐三大杉の一つである八百杉も生えています。
この巨木の存在感には呆気を取られるほど。
そしてこのエリアでの個人的なおすすめが、かっぱ遊覧船。
かっぱ伝説が今でも語り継がれる町内一大きい川、八尾川(やびがわ)を周遊する遊覧船で、小さな船でのんびりまったりと町並みを楽しみながら過ごすことができるのでおすすめ。
他にも、かつて後醍醐天皇遠流の地となった、隠岐国分寺。
隠岐の島町名物である牛突きを間近で楽しめる、隠岐モーモードーム。
隠岐造り建築で田舎料理を楽しむことができる、佐々木家住宅。
絶景を楽しめる夕日の見える丘公園や西郷岬灯台など。
西郷エリアは一番見どころたっぷりではないでしょうか。
エリア別に分けて、ざっくりですが隠岐の島町を紹介してきました。
それにしても隠岐の島町、本当に観光資源には溢れているところではないでしょうか。
隠岐の島町を含む隠岐諸島は、大山隠岐国立公園や、このページでも少し出ているように世界ジオパークに認定されており、まさに日本が世界に誇る大地の公園なのです。
なので今回おすすめしたスポットの多くが、ジオパークに関連してくるというわけですね。
空港の愛称にもなってしまうほどですから、いかにジオパークを推しているかが伺えますね。
ジオパークについて詳しく知りたい方は、私のコラムへどうぞ。
他にもジオバスと行った観光バス、乗り合いタクシー、それぞれの地域で組まれているツアーや体験型アクティビティ、そしてなんと言っても宿泊施設が約30施設と充実しており、人々を受け入れる体制はしっかりと整備されてきているように思えます。
名産であるサザエや隠岐牛を使った料理、サザエ最中、この地で伝統的ないぐり凧より命名されたパイ餅「iguri」などの美味しい食べ物も皆さんを待っていることでしょう。
お隣の島前エリアにある海士町や西ノ島町、知夫村との関連ツアーもあるので、ぜひ時間をかけてじっくり島々の魅力を堪能していただきたいところですな。
最後にアクセスですが、先述したように船なら西郷港、飛行機なら隠岐空港が整備されいるので、個人的に島にしてはアクセスはしやすいのではないかと感じています。
船に関しては鳥取県境港市の境港港、島根県松江市の七類港の両方から、フェリーもしくは高速船でアクセス可能です。
そしてなんと言っても飛行機に関しては関西の方必見、兵庫県伊丹市にある伊丹空港(大阪国際空港)からの直通便が1日往復1本ずつ運行しており、片道50分ほどでアクセスできるのです。
より関西に在住の方には馴染みを持っていただきたい、隠岐の島町および隠岐諸島です。
日本海から自然と伝統を世界に発信し続ける、隠岐の島町に訪れてみては。