兵庫県の丹波市。
県の北東に位置し、丹波篠山市、西脇市、多可町、朝来市、京都府福知山市と隣接しているところ。
丹波と聞いたら何を思い出すでしょうか。
丹波の黒豆や丹波ワインなど、さまざまあるかとは思います。
しかしながらこの丹波ワインは、京都府京丹波町の特産品で、丹波市はあまり関係がないのです。
他にもお隣の丹波篠山市では、2019年5月の令和になった瞬間に篠山市から丹波篠山市に名称を変更しましたね。
このように丹波にまつわるさまざまな事柄が、丹波市の場所を曖昧にしている気がするのは私だけではないはず。
ということで今回は、そんな丹波市について紹介していきます。
まずはじめに、丹波にまつわる特産物について。
先述しましたが、丹波の黒豆は耳にしたことがある方も多いと思います。
もちろんこれだけではありません。
この丹波の黒豆をはじめとして、丹波栗、丹波大納言小豆も有名な特産物で、3つ合わせて丹波三宝とも呼ばれています。
丹波三宝をふんだんに使った料理やスイーツを食べることができるお店も市内にたくさんあるので、甘い和系の食べ物が好きな方にはおすすめですよ。
そしてもう一つ、丹波栗を食べて育った丹波栗きん豚もおすすめ。
和製イベリコ豚とも表現され、その柔らかく甘いお肉は絶品。
市内でしか流通していないということなので、出来たてを食べるには丹波市に行くしかありませんね。
おすすめは、吉吉というお店で販売されている豚まん。
丹波栗きん豚を一番美味しく食べられるところかもしれません。
他にも霧芋という丹波市で採れた山芋や、柳宗悦が愛した丹波布など、丹波市を代表する特産物が見られますよ。
次に丹波市にある全国的にも変わった地形を紹介。
それは、本州一低い中央分水界。
これは日本における日本海側と太平洋側を分ける境界線のことであり、その中央分水界の本州で一番低いところが、この丹波市にあるのです。(ちなみに日本一低いところは北海道の新千歳空港付近にある、約13.7mのもの。)
その標高は約95mで、一見したところはただの平地に変わりないですが、日本全体で見ると中央分水界が標高1000〜3000m級の山々が連なるところに位置する中で、容易にこの境界を感じることができることは奇跡と言っても過言ではないのだとか。(日本一高いところは、長野県松本市と岐阜県高山市にそびえ立つ乗鞍岳で、約3,026m。)
ここに降った雨水は加古川を流れて太平洋側の瀬戸内海に、由良川を経て日本海へと流れていき、この加古川から由良川までを結ぶ地帯を氷上(ひかみ)回廊と言います。
太平洋側の温暖な気候と日本海側の寒冷な気候が混ざり合うこの地だからこそ、丹波三宝をはじめとした恵みや生物多様性が維持されているのです。
この中央分水界が通る青垣エリアは、その里山保全活動が認められ、重要里地里山選定地にも指定されています。
これらの活動を含め、より中央分水界のことを知りたい方は、水分れ資料館や実際に水に触れることができる水分れ公園に足を運ぶことをおすすめしますな。
そして、丹波市には恐竜にまつわるところもいくつかあります。
2006年に日本最大級の植物食恐竜の化石が丹波市と丹波篠山市に位置する篠山層群から発見されたこともあり、これら一体を丹波地域恐竜化石フィールドミュージアムと名付け、様々な活動をしているのです。
化石の発掘作業推進や情報発信を行う、丹波竜化石工房 ちーたんの館。
恐竜のレプリカがいくつも見られる、丹波竜の里公園。
これらのスポットを巡ることで、恐竜の歴史について学ぶことができておすすめです。
最後に、丹波市の歴史を感じることができるところを紹介。
まずは、柏原八幡宮。
ここは三重塔と釣り鐘が現存し、特に真っ赤な三重塔の迫力は圧巻。
現在の社殿は豊臣秀吉が再々建したということで、この地まで秀吉の手が及んでいたことを表しています。
次に、柏原藩陣屋跡。
ここは織田信長の弟である織田信包(のぶかね)、さらにその子孫である織田信休(のぶやす)によって治められていた1500〜1600年代の柏原藩の時代に、政治の中心であったところ。
近くには柏原藩の歴史を学ぶことができる、柏原町歴史民俗資料館。
また、6歳でその俳句の才能を開花させた田ステ女(でんすてじょ)にまつわる、田ステ女記念館もあり、どちらも柏原藩陣屋跡との共通入館料で楽しむことができるので、セットで巡ってみるのがおすすめ。
そして、たんば黎明館。
ここは明治時代初期の教育施設において、日本でも五本の指に入るほど文化的価値の高い建物。
元々は高等小学校であったものの、今ではリノベーションされています。
1階では里山フレンチをいただくことができる、ル・クロ丹波邸。
2階にはビュッフェ形式で楽しむことができる、ダイニングカフェTAMBAR。
他にも貸会議室など、多くの地元民に愛された施設となり、ここを中心とした丹波市の仕事の創出プロジェクトも行われるなど、丹波市とは切っても切れないところとなっているのです。
他にも、秋から冬にかけて雲海を見ることができる、黒井城跡。
四神相応の庭園をゆっくり鑑賞できる、石像寺。
春日局が幼少期を過ごしたとされる、興禅寺。
木の根っこが何千年もかけて橋のようになった、木の根橋。
丹波市出身のコレクター植野藤次郎のコレクションがある、植野記念美術館。
夏はキャンプを楽しめる穴場スポット、日ヶ奥渓谷など、楽しむことができるスポットが満載となっています。
以上、丹波市について紹介してきました。
春や夏にかけては白毫寺の九尺藤や、ひまわり柚遊農園でひまわりも鑑賞できる、自然溢れたところですね。
その一方で歴史的にも貴重な丹波竜の化石、そして中央分水界を中心とした地理的にも目をみはるものが多くあり、さまざまな経験ができるところではないかと感じます。
また、丹波市としての独自性や個性、理念を表現して、内外的にアピールしていこうというCI(シティアイデンティティ)戦略を掲げ、市の活性化を図っているとのこと。
市民参加型で森林整備に取り組む木の駅プロジェクトや、空き家を有効活用する住まいるバンクの運営など、積極的な資源の活用に取り組んでいることも見受けられました。
今後の丹波市の発展に期待がかかるところですね。
アクセスですが、丹波市にはJR福知山線と加古川線が通っています。
大阪や京都方面からなら福知山線、神戸方面からでしたら加古川線を利用しちゃいましょう。
そして車ですが、舞鶴若狭自動車道と北近畿豊岡自動車道の2つが通っているので、こちらもうまく活用してアクセスしちゃいましょう。
本州一低い中央分水界を体感しに、丹波市に訪れてみては。