福島県 浪江町 -花の一大生産地に-

 

福島県の浪江町。

 

 

日本海側の双葉郡に属し、南相馬市、飯舘村、川俣町、二本松市、葛尾村、田村市、双葉町、大熊町と面しているところ。

あのDASH村があった町として、聞いたことがある方もいるのではないかと思います。

そしてこの浪江町ですが、2011年の3月11日に起きた東日本大震災により被害を受けた場所でもあります。

今回はそんな浪江町について、紹介していきます。

 

 

 

 

浪江町は震災による影響で町の半分以上、特に常磐自動車道以西のエリアは未だに帰宅困難区域に指定されています。

先述したDASH村もその区域の中にあり、なかなか手を付けられないという現状なのです。

ただその一方で、常磐自動車道以東のエリアを中心に、徐々にですが賑わいを取り戻してきています。

では、その賑わいを支える浪江町ならではのものを取り上げていきます。

 

 

 

まずは、大堀相馬焼

これは浪江町で代々生産されてきた焼き物で、国の伝統工芸品にも指定されています。

町内には23軒もの窯元がありましたが、震災により避難を余儀なくされ、今でも多くの窯元が休廃業となっているのです。

しかしながら、大堀相馬焼という伝統を絶やさないようにと避難先で再建された窯元もあり、そのような方々の努力によって今日まで受け継がれているのです。

 

そんな大堀相馬焼の特徴は大きく3つ。

1つ目は走り駒

これは作品一つ一つに描かれている御神馬のことで、右に出る者はいないという意味を込めてすべて左向きに描かれています。

 

2つ目は青ひび

作品の表面にまんべんなくひびが入っており、これを青ひびと言います。

釉薬と素材の収縮率の違いにより、焼却後の冷ます工程で自然とひびが入るのです。

これを貫入と言い、決して破損しているということではないのでご安心を。

 

3つ目は、二重焼き

これは大堀相馬焼にしか見られない特徴で、冷めにくく陶器が熱くなりにくい構造となっています。

 

 

現在、大堀相馬焼を守り続けてきた協同組合は二本松市での営業を2019年3月で一度休止し、2020年を目処に町内で新拠点を立ち上げるために活動しているとのこと。

その他にも、西郷村や白河市にある窯元で学生対象にインターンシップも毎年夏期に行っているということで、この伝統に触れ合うことができる機会を利用してみるのもいいかもしれませんね。

 

 

 

 

 

続いて取り上げるのは、なみえ焼きそば

浪江町で生まれた、太目の麺と豚バラともやしを甘辛いソースで味付けした食欲をそそる一品。

町内では浪江焼麺太国という団体のアンテナショップがあり、そこで食べることができます。

過去のB-1グランプリでも1位を勝ち取ったその味を、ぜひ本場で味わってみたいものです。

 

 

 

そして3つ目は、浪江町フラワープロジェクト

これは浪江町を花の一大生産地にしようという取り組みで、2013年から川村博さんという方が素人ながら始めた農業がきっかけ。

そして風評の少ない花の栽培に着手し、2017年にはフラワーオークションジャパン・オブ・ザ・イヤーの優秀賞にも選ばれるほど。

主に生産されているのはトルコギキョウで、着実にその生産量を増やし続けています。

今後の発展が楽しみなところですな。

 

 

 

以上、浪江町について紹介してきました。

被災した地域にとって、被害がどのくらいあったかという報道はよく耳にします。

一方で、実際そこではこれまでどのような文化が根づいていたのか、そして現在復興に向けてどのような取り組みをしているのかということが見えにくいことがよくあり、浪江町もその1つではないかと思います。

浪江町で言えば大堀相馬焼といった伝統工芸品を途絶えさせないよう、一度は移転しつつも最後は元の場所に戻って、活動を再開させようとしています。

また、なみえ焼そばという全国から脚光を浴びたソウルフードも、より多くの人から浪江町を改めて知ってもらうきっかけづくりになるのではないかと感じます。

 

他にもトルコギキョウの花卉栽培などを通じて、改めて浪江町でなにかをやろうという人がたくさんいます。

新たに何かを作り出すのも大事ですが、元々この地にあったものを生かして活動をしていくことの重要さを考えさせられましたね。

 

 

 

 

 

浪江町までのアクセスですが、JR常磐線の浪江駅が交通機関としてあります。

しかしながら、浪江駅から南の富岡町に位置する富岡駅までの区間は未だ電車の運行はしておらず、2020年3月に全線開通予定とのこと。

それまではこの区間は代行バスでの運行となっています。

常磐自動車道は全線開通しているので、自動車だとまだアクセスはしやすいかもしれません。

 

 

浪江町に、一度訪れてみては。