北海道の斜里町。
斜里郡に属する、あの知床半島の北西側を占めているところ。
隣接している清里町、羅臼町、標津町と合わせて、知床観光圏とも呼ばれています。
オホーツク海にも面しており、冬期には流氷を目の当たりにできます。
世界自然遺産にも登録されている知床ですが、その全貌を知っている方は少ないのではないかと思います。
今回はそんな知床も踏まえて、斜里町を取り上げていきます。
斜里町は大部分が自然に覆われており、その多くを知床が占めています。
世界自然遺産に登録されたのは2005年、それよりはるか前に知床国立公園にも指定されました。
なんといっても流氷や切り立った断崖絶壁、そしてヒグマなどの野生動植物の生態系が現在もしっかりと残っていることこそ、知床が日本の自然を代表する要因でしょう。
そんな知床を中心に、まずは書き綴っていきます。
みなさんは知床八景をご存知でしょうか。
これは知床の中でも比較的認知されている場所のことで、8つあることからこの名が付いています。
知床硫黄山から湧き出た温泉が流れ出している、カムイワッカ湯の滝。
一〜五湖で形成され、高架木道と地上遊歩道の2コースを楽しめる、知床五湖。
お隣の羅臼町との境で、展望台から知床を一望できる、知床峠。
約100mもの断崖絶壁から流れ、乙女の涙とも呼ばれる、フレペの滝。
オホーツクの中でも最初の頃に流氷を見ることが出来る、プユニ岬。
文字通り夕日の絶景スポットである、夕日台。
かつて存在したオロッコ族から名がついた、高さ60mもある巨石、オロンコ岩。
日本の滝100選にも選ばれ、双美の滝とも呼ばれる、オシンコシンの滝。
この8つはすべて斜里町にあるので、ぜひともすべて巡っておきたいところ。
夏場に車でしたらとても巡りやすいと思いますよ。
そして知床をより堪能したい方は、知床遊覧船の断崖クルーズにぜひ参加しましょう。
車で行くことが出来るのがカムイワッカ湯の滝あたりまでで、それより先は一般車両は通行禁止となっています。
知床の真の姿を刮目するためには、この断崖クルーズが不可欠なのです。
コースも3コースあり、短いコースからカムイワッカコース(1時間:3,300円)、ルシャ湾コース(2時間:5,500円)、知床岬コース(3時間:8,000円)となっています。
時間や予算でコースを選んでもらうかたちですが、個人的には3つすべて網羅している知床岬コースがおすすめですね。
そしてこの知床八景が見られるあたり、および知床遊覧船の発着地点があるところは、ウトロと呼ばれています。
なんとなく名前だけは聞いたことがある人がいるのではないかと。
斜里町役場のある駅前と知床岬の、ちょうど中央辺りに位置しているところです。
そんなウトロには、知床八景以外にも見どころがたくさんあります。
個人的なおすすめは、知床世界遺産センターと知床自然センターの2つ。
どちらも知床について学ぶことが出来る施設ですが、前者では主に世界遺産に交えた内容が盛りだくさんで、隣接している道の駅うとろ・シリエトクでおいしい食事も頂くことができます。
後者はフレペの滝方面に位置しており、主にビジターに向けた有益な情報を提供してくれるところとなっています。
近々、THE NORTH FACEとHELLY HANSENのショップ、およびバリスタコーヒーが飲めるカフェがオープンするとのことなので、アウトドア好きにはよりたまらない場所になることでしょう。
他にもウトロ周辺には、
ウィンタースポーツが楽しめる、ウトロスキー場。
サケやマスの遡上を見ることが出来る、ペレケ河岸公園。
ゴジラのように見えることから名前がついた、ゴジラ岩。
知床国立公園内に位置する、岩尾別温泉。
そしてウトロ中心街が温泉街となっているので、温泉や足湯で疲れを癒やしてもらえますよ。
そして斜里町中心街にも、いくつかおすすめスポットが。
このあたりの野生動物の剥製がおびただしく展示されている、知床博物館。
廃刊となった山の文芸誌『アルプ』より名が付いた、北のアルプ美術館。
知床連山を一望でき、手付かずの自然が残る、以久科原生花園。
斜里町の中でも駅チカスポットなので、ふらっと立ち寄ったときにはぜひ。
では最後に斜里町で行われている催しについて紹介していきます。
まずは催しを3つ。
1つ目は、知床雪壁ウォーク。
毎年4月に知床横断道路を舞台に開催され、冬期に積もり積もった雪壁の間を日本百名山の羅臼岳を中心とした知床連山を見ながら歩く時間は格別ですね。
雪壁の高さは富山県立山町の雪の大谷には劣りますが、個人的に知床の方では大パノラマを楽しむことが出来るので、それぞれの良さがあると思います。
2つ目が、しれとこ斜里ねぷた。
毎年7月の第4金・土曜の2日間、駅前で開催されるこのしれとこ斜里ねぷた。
こんなところでもねぷたがやっているのかと思った人もいると思いますが、斜里町はねぷたの本場である青森県弘前市と友好都市提携をしていることから、その文化的交流として始められたんだとか。
斜里町のねぷたも大いに迫力があることでしょう。
最後に3つ目が、知床流氷フェス。
毎年1月30日(知床の日)から2月いっぱいの約1ヶ月間、ウトロにある国設知床野営場で開催されており、アイスドームやアイスバーを身体で寒さを感じながら楽しむことができます。
まさに知床の風物詩とも言えますな。
以上、斜里町について紹介してきました。
日本を代表する場所、知床を支えているところだと分かってもらえたのではないかと思います。
1977年から行われている「しれとこ100平方メートル運動」という活動があります。
これは知床国立公園がかつて乱開発の危機にあったとき、保全するために斜里町が中心となって寄付を募り、その寄付金で土地を買い取ったことがはじまりとされる活動です。
今ではそれを原生の森へと育てる活動へとシフトし、「100平方メートル運動の森・トラスト」という名前へと変わりました。
これらの活動の一連の流れを「しれとこ100平方メートル運動」と呼んでおり、今現在の知床における自然景観や環境が保たれているのは、まさに斜里町の活動の賜であると実感できますね。
では最後にアクセスですが、斜里町にはJR釧網本線が通っております。
中心の駅は知床斜里駅となっており、そこからレンタカーや斜里バスなどを利用して行きたいところへアクセスしちゃいましょう。
ちなみに知床斜里駅までは釧路駅から2時間ちょっとで、電車旅を満喫したい方にはもってこいですね。
そんなに電車に乗ってられないという方は、女満別空港から車でのアクセスだと約1時間で斜里町に到着できるのでこちらもおすすめです。
知床を体感しに、斜里町へ訪れてみては。