どうも、空也です。
「日本が生みだす感動を」に訪れていただき、ありがとうございます。
みなさんはユネスコエコパークという言葉を聞いたことはあるでしょうか。
ちらっと耳にしたことがある方もいるかもしれませんね。
今回は徐々に認知されつつある、ユネスコエコパークについて解説していきます。
世間一般では、清掃工場(エコパーク阿南 etc.)や環境学習施設(エコパークあぼし etc.)といった施設の名称にエコパークが使われていることがあります。
本記事ではそれらとは区別して、ユネスコエコパークについて取り上げていきます。
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1.ユネスコエコパークってなに?
2.日本のユネスコエコパークについて
3.日本におけるユネスコエコパークの可能性[/box2]
1.ユネスコエコパークってなに?
ユネスコエコパークは、正式には生物圏保存地域(Biosphere Reserve、BR)と言います。
これはユネスコのプログラムの一つである、自然の恵みを守り持続的に利用することを目的とした「人間と生物圏(Man and the Biosphere、MAB)計画」のうちの取り組みの一つです。
分かりやすく言えば、自然と人間が共生できるような持続的な開発や保全が出来ている地域、みたいな感じで捉えていただければいいのかなと。
もちろん日本だけでなく世界中にユネスコエコパークは存在しており、自然と人間の相互関係を構築しているとされる地域を、1976年から認定しています。
また、ユネスコエコパークは3種類のエリアにゾーニングされています。
・核心地域
法的に、そして長期的に保全保護されているエリア。
手つかずの自然が残されていることが多い。
・緩衝地域
核心地域の周囲及び隣接しているエリア。
自然の保全や持続可能な利活用への理解を深めるため、実験的研究や教育研修、エコツーリズムの舞台となる。
・移行地域
人間が居住し生活しているエリア。
自然環境保全と調和した持続可能な地域社会の発展を目指している。
このようにエリアを峻別することで、それぞれに求められた役割を再認識して、未来の世代にも持続的に利活用してもらえるよう取り組んでいるのです。
そして認定の流れとしては、図のようなフローとなります。
ざっくりとですが、こんな感じです。
ユネスコエコパークに申請したい地域を管理する自治体や組織が、日本ユネスコ国内委員会MAB計画分科会に申請し、さまざまな要件を満たした上でユネスコ本部に英語による申請書を提出。
ユネスコ本部による審査が通れば、晴れてユネスコエコパークに認定されるといった流れですかね。
フローだけをみるとかなりシンプルで、煩わしさ等は見受けられない印象です。
2.日本のユネスコエコパークについて
続いて、日本にはどんなユネスコエコパークがあるのかについて取り上げます。
2020年5月現在で、日本には10ヶ所の地域がユネスコエコパークに認定されています。
世界的に見ると124カ国701地域(越境の21地域を含む)あり、日本は多くとも少なくとも言えないですね。(ちなみにスペインが52ヶ所と一番多いです。)
日本で初めて認定されたのが1980年。
・志賀高原ユネスコエコパーク(長野県・群馬県)
・白山ユネスコエコパーク(石川県・福井県・富山県・岐阜県)
・大台ヶ原・大峰山・大杉谷ユネスコエコパーク(奈良県・三重県)
・屋久島・口永良部島ユネスコエコパーク(鹿児島県)
こちらの4ヶ所を皮切りに、日本におけるユネスコエコパークの活動が開始しました。
その後、約30年の期間を経て
・綾ユネスコエコパーク(宮崎県):2012年
・只見ユネスコエコパーク(福島県):2014年
・南アルプスユネスコエコパーク(山梨県・長野県・静岡県):2014年
・祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク(大分県・宮崎県):2017年
・みなかみユネスコエコパーク(群馬県・新潟県):2017年
・甲武信ユネスコエコパーク(山梨県・埼玉県・長野県・東京都):2019年
以上の6ヶ所が怒涛の勢いで認定されていきました。
2010年代はユネスコエコパークバブルだったことが分かりますね。
そのことも相まって、初認定から30年以上も途切れていたことが非常に気になります。
認定はそう容易ではないというのを感じた一方で、2010年のフィーバーを目の当たりにすると実はそうでもなかったりとか。
どっちにしてもさまざまな背景があることは間違いないですね。
そのユネスコエコパークも非常に見応えのある自然景観が見られ、独自の取り組みも行っているので、興味のある方はそれぞれのホームページにアクセスしてみてくださいね。(屋久島のみホームページなし)
3.日本におけるユネスコエコパークの可能性
ここまでユネスコエコパークについて、簡単に解説してきました。
今後日本においてどのような影響を及ぼしていくのか、どんな可能性を秘めているのかまとめていきます。
まず考えられることとして、一気に注目が集まる日が来るかもしれないということです。
ユネスコエコパークでは、先述ましたが人間と自然が共生できるように保護するということが一番の目的で、持続的な取り組みがなされています。
近年、世界的に推進されているSDGsというのも、言ってしまえばユネスコエコパークでの持続的な活動がまさに直結しています。
SDGsは全世界で17の目標を2030年までに達成するということで、関係者のみならず若い世代の人々も必然的に目にする機会が増えてくるでしょう。
目標の中には貧困や働き方などに焦点を当てているものもある中で、海や陸の自然を守るというのもあり、人々の注目がSDGsに集まることで、ユネスコエコパークの活動を知る機会が増加していくのではないかと考えますな。
次に、観光やツーリズムにおいて欠かせない存在となるのではないかということです。
こちらも先述したように、緩衝地域では主に教育研修やツーリズムが行われており、それらを主体とした集客が充分に見込めるのではないかと考えます。
新型コロナが流行した今では、出歩くことがリスクという社会的風潮があることが観光事業において大きなネックとなっているのは事実です。
その中でユネスコエコパークといった自然が多くあるところが、あくまでも決して安全というわけではではありませんが、観光やツーリズムが少なくとも観光事業回復の糸口となるのではないかという期待が個人的にはかかっています。
少なくともユネスコエコパークのエリアでは、三密を避けることができる環境を都会よりも圧倒的に整備しやすいのではないか、それだけでもアドバンテージがあるのではないでしょうか。
最後に、世界遺産やジオパークといったユネスコの事業の一つとして、日本を支えていくことになるのではないかということです。
ユネスコエコパークや世界遺産、そしてジオパークはユネスコの中でも独立した分野ではあるものの、その分野を超え重複したエリアがあり、相互的に管理しています。
例えば、屋久島や大峰山は世界遺産とユネスコエコパーク、秩父市の大達原はジオパークとユネスコエコパークでそれぞれ重複しています。
つまり、重複しているエリアでは独立した事業でも何かしらの連携を取ることができる可能性が充分にあるということです。
これは関係者以外にはそこまで大きな影響はないとは思いますが、連携が取りやすいことで少なからず関係組織ごとでコミュニケーションは円滑になり、仕事にもスピード感が出てくるのではないでしょうか。
以上、ユネスコエコパークについてざっくりと述べてきました。
なかなかユネスコエコパークの管轄に域外から足を踏み入れることは難しい状況ではありますが、新型コロナウイルスが完全消滅することはないと思いますし、今後は共存していくしかないのではないでしょうか。
世界遺産もジオパークももちろんそうですが、人間と自然が共存し持続的な利活用をしていくという使命を担うユネスコエコパークは、なお一層意識高く取り組んでいかなければないと考えます。
みなさんも一度、ユネスコエコパークを目指して旅行してみては。