熊本県の湯前町。
県南部の球磨郡に属し、多良木町、水上村、宮崎県の西米良村と面しているところ。
奥九州や人吉球磨地域の一つとして、九州を支えている町です。
ちなみに読み方は「ゆのまえ」で、「ゆまえ」や「ゆぜん」ではないんですね。
今回はそんな湯前町を紹介していきますよ。
湯前町は先述したように人吉球磨地域を構成している一つで、このエリアは相良氏によって長年統治されていました。
約1200年代から約700年という日本史上稀に見る長期間の統治および歴史や伝統は、「相良700年が生んだ保守と進取の文化」として日本遺産にも登録されるほどです。
そのため湯前町にも、当時から受け継がれてきた文化や伝統が色濃く残っているので、その中からいくつか取り上げていきます。
その一つが、城泉院阿弥陀堂。
創建は久米氏とも言われていますが、長年相良氏によって保護・信仰されてきました。
ここの阿弥陀堂は県内最古の木造建築とされており、非常に見応えのある茅葺屋根を携えています。
また注目したいのが、境内にある七重・九重・十三重の石塔で、その光景は極楽浄土を表している、そんな雰囲気を醸し出しています。
他の構成文化財として、大師信仰を受けて守られてきた御大師堂。
相良三十三観音の25,26,27番所である、普門寺観音、上里の町観音、宝陀寺観音。
人吉球磨地域に伝わってきた球磨焼酎や、じゃんけんのルーツとも言われる球磨拳など、何百年と続く伝統を目の当たりに出来ますよ。
続いて、町内にある寺社仏閣をいくつか紹介していきます。
まずは、潮神社。
ここは別名おっぱい神社とも言われ、乳房の形をしたお供え物をすると子宝に恵まれるんだとか。
それに伴いおっぱい祭りというのも開催されているとのこと。
女性の神様を宿していると言われる潮神社と、すぐ近くにある男性の神様を宿す塞神社の両方に参拝すると、夫婦円満になれるんですって。
次に、市房山神宮里宮神社。
湯前町の北東にそびえる市房山に位置する、市房山神宮の遥拝所として造られた神社。
境内には軽巡洋艦「球磨」の記念館もあるので、合わせて訪れておきたいところ。
そして、龍神ハナグリ石神社。
御祭神が7つの穴が開いた変わった巨石とのことで、龍神の化身とも言われてるんだとか。
一風変わった神社なので、訪れてみる価値はあるかも。
最後に他の見どころをざっと紹介。
まずは、湯前まんが美術館。
政治風刺漫画を多く世に生み出した那須良輔の生まれ故郷が湯前町だったこともあり、彼を讃えて開館したところで、那須良輔記念館とも呼ばれています。
建物のモチーフは人吉球磨地域に伝わる伝統玩具「きじ馬」で、ここにも文化的な側面を見せてくれています。
このような所以からか、湯前駅前には無料で漫画を見ることができる、湯前まんが図書館もあるので、立ち寄るのもいいかもしれません。
続いて、ゆのまえ温泉湯楽里(ゆらり)。
ゆのまえグリーンパレス内に位置する町内唯一の温泉施設。
キャンプ場なども併設しており、温泉からの九州山脈を一望できる大パノラマが魅力です。
私達を癒やしてくれること間違いなしですな。
最後に、下町橋と古町橋。
どちらも町内に現存する石橋で、その歴史を感じられる建造物となっています。
以上、湯前町について紹介してきました。
周囲の市町村と合わせて人吉球磨地域と括られてしまいがちですが、実際フォーカスしてみるとさらに文化的側面が際立つ魅力的なところではないかと感じましたね。
個人的に気になっているのが、下村婦人会という漬物で有名な団体。
1950年に山北幸という1人の女性が発端で始まり、現在に至るまで地域の女性の働き口として、また地産地消で安全なものを人々に届けるという確かな理念を持って活動を続けており、非常に魅力を感じるものがありました。
婦人会によって作られた市房漬ときりしぐれはどちらも「本場の本物」に認定されており、その味は確かなものではないでしょうか。
古くからできるだけ地域にお金が落ちるよう試行錯誤を重ねて運営されてきた下村婦人会は、今の日本において必要な組織のあり方を学べるのではないかと勝手に感じております。
下村婦人会の歴史については、こちら。
アクセスですが、湯前町にはくま川鉄道が通っております。
人吉駅で乗り換えて来るのが一番ベストではないですかね。
車も九州自動車道が人吉市に通っているので、人吉ICからのアクセスが早いのではないでしょうか。
歴史が色濃く残る町、湯前町に訪れてみては。
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