長崎県の平戸市。
平戸島、生月島(いきつきしま)、的山(あづち)大島、度島などの大小40の島から形成される、松浦市と佐世保市と隣接しているところ。
日本で初めての西洋貿易港として栄えたことから、市内にはキリスト教にまつわる建造物などが多く見られます。
その他にも海に囲まれた立地により生まれた景観など、一度は訪れてもらいたいところが満載の平戸市を今回は紹介していきます。
まずは平戸市におけるキリスト教の伝播から普及までの流れを紹介。
1550年にポルトガル船が平戸に入港し、そこから徐々に西洋貿易が盛んとなりました。
それに伴いフランシスコ・ザビエルもこの地に訪れ、次第にキリスト教が爆発的に普及し始めましたが、1587年に豊臣秀吉のバテレン追放令により禁教となり、各地に潜伏キリシタンという信者が増加したのはこの頃です。
その後明治に入り禁教が解かれたものの、隠れキリシタンというそのまま密かに続ける信者も見られました。
そして19世紀に入るとようやくキリスト教も公となり、次々に教会が建てられ、平戸の各地に見られるようになったのです。
そのような歴史もあり、平戸市を含めた長崎県および熊本県に及ぶエリアが2018年に、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」という名で世界遺産に登録されましたよね。
その中でも平戸は「平戸の聖地と集落」というエリアにおいて主に2つの見どころがあります。
それは、春日集落と安満岳および中江ノ島。
平戸島西海岸にある春日集落で潜伏キリシタンは密かに信仰を続けながら、キリシタンの処刑が行われた中江ノ島を殉教地として拝み、キリスト教普及以前から山岳仏教信仰の対象であった安満岳も併せて信仰するという、ここはまさに特殊な環境だったとか。
その春日集落にある「かたりな」という案内所や、生月町博物館「島の館」(クジラについて学ぶこともできる)では当時信仰していた納戸神や生活風景を学ぶことができるので、必見です。
中江ノ島に関しては上陸は出来ないものの、オーロ・イキツキ・サリー号や万鱗(まりん)丸といった周囲を巡る観光船があるので、こちらもおすすめです。
世界遺産以外にもキリスト教関連の施設はまだまだあるので、一気に紹介。
まずは田平エリアにある、焼罪史跡公園。
カミロ・コンスタンツォ神父が焼罪に処され、その遺徳を偲ぶところ。
海を挟んで向かいには平戸城や平戸ザビエル記念教会がバッチリと捉えられるのでおすすめ。
続いて平戸島中部に位置する、平戸市切支丹資料館。
先述した「島の宝」ではキリシタンとクジラについて学べますが、ここでは名前の通りキリシタンのことだけを学べる密度の濃い施設となっています。
周辺にも多くの史跡が残っているので、併せて楽しんじゃいましょう。
その他、市内には10ヶ所以上もの教会があり、それぞれが建築や外観など異なる顔を持つので、巡ってみるのもいいでしょう。
続いて紹介したいのが、平戸市の自然について。
平戸市一体は大小40もの島からなる多島海景観から、九十九島や五島列島などと共に西海(さいかい)国立公園に指定されています。
その中でも西海エリアに属する平戸市の自然景観を紹介。
まずは平戸島北部にある川内峠。
玄武岩の溶岩台地で形成されており、景観がよくドライブコースとしてもおすすめ。
次に平戸島南部に位置する佐志岳および志々伎山。
安山岩により形成され、貴重な植物が数多く生い茂っており、山頂から見る景色はもう絶景。
そして生月島最北端に位置する、大碆鼻(大バエ)。
見下ろせば断崖絶壁の眺望の良い景勝地で、ここにある大バエ灯台には全国的に見ても珍しい展望台が設置されているのでぜひ登って周囲を見渡してみるのをおすすめします。
主に平戸市内にある西海国立公園の見どころを紹介してきました。
しかしながらそれら以外にも楽しめる穴場があるので、こちらも一気に紹介。
ガイドが付けば最高に楽しめる、たびら昆虫自然園。
真っ赤な平戸大橋を一望できる、田平公園と平戸公園。
松浦氏によって築城された海沿いのお城、平戸城。
公民館と図書館の複合施設、平戸市未来創造館COLAS平戸。
恐ろしいほどにきれいな海が広がる、人津久海の浜と根獅子の浜。
2つの島からなり圧倒的な柱状節理が見られる、阿値賀島。
日本酒の見学ができる、福鶴じゃがらたお春博物館。
ツーリングコースとしても名高い、生月島サンセットウェイ。
柱状節理を間近で臨める、塩俵の断崖および御崎柱状節理。
水色の生月大橋が一望でき風車が目の前にある、風の辻ぐるぐる公園。
重要伝統的建造物群保存地区にも指定された、大島村神浦地区。
的山大島にある穴場のキャンプ場、天の原キャンプ場と大賀キャンプ場などなど。
紹介しきれないほどの資源の数々をぜひご覧いただきたいですね。
以上、平戸市を取り上げてきました。
古くから先駆けて西洋貿易に取り組んできた名残である施設やキリスト教文化の数々、そしてこの地ならではの自然景観が相まって、平戸市の魅力は爆発していると個人的に感じました。
いくつもの博物館や資料館といった自然と文化が密接に絡んで生まれたものも多数存在し、それらの由来を改めて勉強するきっかけにもなるので、平戸市に一度訪れることは十分価値のあることではないでしょうか。
特産品としては平戸牛や平戸米、ひらどロマンの名で知られる菌床椎茸など、一度味わっておきたいものばかりですよ。
アクセスですが、田平地区に松浦鉄道が走っています。
主に佐賀県や長崎中心街からのアクセスには、景観を楽しむという点において松浦鉄道はもってこいですね。
ただ平戸市の多くは島ということもあり、やはり移動の幅が広がる自動車での周遊が一番楽しめるのではないかと感じます。
鉄道と車、そして船を巧みに利用して、平戸市を余すことなく楽しんでくださいね。
日本におけるキリスト教のはじまり、平戸市へ訪れてみては。