石川県の能登町。
能登半島の鳳珠(ほうす)郡に位置し、珠洲市、輪島市、穴水町と隣接しているところ。
まさにこの能登という地名を体現している町ですね。
「能登の里山里海」、能登半島の代名詞ともいわれる言葉。
里山とは、人が程よく自然を利用することで維持されてきた地域のこと。
里海とは、人と密接に関わっている沿岸部のこと。
このあたりでしか味わうことの出来ない自然や文化があるということで、2011年には国連食糧農業機関より、世界農業遺産として認定されました。
能登半島に広がる4市5町が認定され、ここ能登町も含まれているのです。
そこにはいったい何があるのでしょうか。
まずは食について。
日本海がもたらす恵みは計り知れません。
その中でも、小木の船凍イカは函館や八戸と並ぶほどの漁獲量を誇ります。
獲れたスルメイカをその場で急速冷凍することで、とれたての味を楽しむことができるとのこと。
また、日本三大魚醤にも数えられる、いしる。
秋田県名産、ハタハタから造られたしょっつる、香川県のいかなご醤油と並ぶ魚醤。
能登町も含まれる奥能登で古くから伝わる魚醤で、ここ能登町ではよく獲れるイカの内蔵を原料に造られているとのこと。
そして、赤崎で獲れるいちご。
ほとんどが能登町内で消費され、なかなか流通しない、とびきり甘い幻のいちご。
4〜6月でしか味わえないので、これはもう食べに行くしか無いでしょう。
次に自然について。
ここには日本百景にも数えられるところがあります、それが九十九(つくも)湾。
リアス式海岸なのでとても入り組んでおり、その中央にぽつんと浮かぶ蓬莱島。
まさにベトナムのハロン湾のミニチュアサイズと言ってもいいでしょう。
また、珠洲市との境界に位置する恋路海岸。
海に浮かぶ鳥居が印象的です。
恋人の聖地として人気のスポットですが、ここにまつわる伝説が何とも悲しいお話。
その悲恋伝説を反面教師に、ここに訪れた恋人同士は長続きするのかもしれませんね。
そしてここ能登町を盛り上げてくれるのが、奇祭の数々。
年間を通して何かしらの祭りが行われており、この能登町の盛んさを際立てております。
特に夏に行われる祭りは、キリコと呼ばれる大小さまざまな奉燈が燦然と輝き見事です。
あばれにあばれて最終的に神輿を叩きつけたり、河川に投げ込む、あばれ祭り。
先述した恋路海岸で行われる、恋路火祭り。
他にも真脇キリコ祭り、姫どいやさ祭りなど、何度でも楽しめる祭りが目白押しです。
ちなみにこのキリコ祭りは、日本遺産「灯り舞う能登 〜熱狂のキリコ祭り〜」の構成遺産でもあります。
隣接した輪島市や穴水町、玖珠市で見られるキリコ祭りと共に登録されており、能登半島全体を今後も盛り上げてくれる祭りになっていくことでしょう。
能登町を改めて見ると、本当に多くの見どころがあると感じました。
確かに能登町自体、そもそもの自然環境に恵まれているからということももちろんありますが、なんと言っても能登町の人たちが多くの伝統などを引き継いでいるという姿勢がひしひしと伝わります。
また、能登半島という、一応本州とはつながっているものの少し外れにあるという環境自体が、独自の文化を育んできたのではないかと感じます。
2005年まではのと鉄道能登線がお隣の珠洲市の蛸島駅まで伸びていましたが、今では廃線に。
現在アクセス方法は車かバス、もしくはお隣の輪島市にある能登空港、またの名をのと里山空港までフライトしてからふるさとタクシーという方法しかありません。
そのようなアクセス環境からか、レンタカーで能登町に来て宿泊する人には、2000円の助成金が出るそうで、旅人にとっては嬉しい限りではないでしょうか。
まだまだ紹介しきれていない部分も山程ありますが、それを確かめに能登町まで、せっかくなので2000円もらえるレンタカーで訪れてみてはいかがでしょうか。