北海道の平取(びらとり)町。
道央に位置し、沙流郡に属するところ。
道央の中でも、日高地方と呼ばれるところですね。
町の中央には沙流川も流れており、この辺りは重要里地里山選定地にも指定されているほど、次世代に残していくべき自然環境にあふれています。
町の名前である「びらとり」は、アイヌ語で崖の間を意味する「ピラ・ウトル」という言葉が由来で、ここではアイヌの文化も根強く残っています。
あのイギリス人旅行家、イザベラ・バードもこの地に訪れ、アイヌの集落であるコタンにも滞在したんだとか。
そんな平取町を、今回は取り上げていきます。
この平取町には、日高山脈の最高峰がそびえ立っていることで有名です。
それは、日本百名山の1つである幌尻(ぽろしり)岳。
変わった名前ですが、これも大きい山を意味するアイヌ語「ポロ・シリ」から来ているんですって。
日高山脈襟裳国定公園にも指定されており、登山客も多く訪れるスポットとなっているのです。
また麓には、芽生(めむ)すずらん群生地と呼ばれる、日本一の広さを誇るすずらんの群生地があります。
毎年5〜6月にかけてすずらん鑑賞会が行われており、白く可憐な花びらが一面に咲き誇ります。
せっかくなので、アイヌのことも少し触れておきます。
二風谷(にぶたに)というエリアに、二風谷アイヌ文化博物館という、道内有数のアイヌに関する施設があります。
ちなみにこの二風谷も、アイヌ語で「ニプタイ」という木の生い茂るところを意味する言葉が由来です。
このエリアに昔から伝わる、二風谷アットゥシ(民族衣装、反物)と二風谷イタ(文様のある木の盆)は、北海道としては初めての国の伝統工芸品として指定されるほど、貴重なものとなっています。
最近では『ゴールデンカムイ』という漫画で、アイヌのことが描かれていることから、徐々に注目を集めているアイヌ文化。
この博物館では、そんなアイヌ文化をしっかりと学ぶことができる貴重なところとなっているので、おすすめです。
他にも、かつて平取町に源義経が訪れたという伝説があり、彼が祀られてる義経神社もあります。
アイヌの人々からはカムイ(神)として崇め奉られていたんだとか。
境内には義経公園、近くには義経資料館もあるので、義経と平取町との関連性を学ぶことができます。
最後にこの地の名産品を2つ紹介。
1つ目は、びらとりトマト。
北海道一の出荷量を誇るトマトで、非常に甘さに富んでいます。
ニシパの恋人というブランド名で、トマトジュースやケチャップ、ゼリーやアイスまで豊富な品ぞろえが特徴的です。
ちなみにこのニシパというのも、アイヌ語で紳士を意味する言葉だそう。
そしてもう1つが、びらとり和牛。
広大な土地で育てられた和牛は、とろけるような食感と味わいを届けてくれるそう。
町内にはくろべこというびらとり和牛専門店があり、上質なお肉をふんだんに使用したステーキやハンバーグを食べることができるのでおすすめ。
どちらもふるさと納税の返礼品として、話題となっていますよ。
以上、平取町について簡単に紹介してきました。
他にも、とても広大な緑の大地が広がるキャンプ場、ニセウ・エコランド。
電車をリノベーションして造られた簡易宿泊施設、ライダーハウス。
旧国鉄の富内線の歴史を学ぶことができる、振内(ふれない)鉄道記念館など。
アイヌのことやかつての鉄道事情などをしっかり学ぶことができる環境が整っているなと、私は感じましたね。
ここで培われ、築き上げられた歴史や伝統を、未来にも受け継いでいっていただきたいですな。
アクセスですが、かつて通っていた旧国鉄富内線はもうありません。
なので、鉄道ならJR日高線の富川駅まで行き、バスに乗り換えて15分。
また、札幌や苫小牧からもバスが出ており、それぞれ2時間弱と40分程度で訪れることができます。
夏場はレンタカーでもして、同じように訪れることも出来ますね。
ただ、なんだかんだ言っても雪の多い北海道なので、冬場のレンタカーは控えておきましょう。
アイヌの勉強をしに、平取町に訪れてみては。