山形県の最上町。
県の北東に位置である最上郡に属し、新庄市、尾花沢市、舟形町、宮城県の大崎市、加美町、秋田県の湯沢市に隣接しているところ。
最上と聞くと思い出すのは、最上川ではないでしょうか。
あの松尾芭蕉の句にも出てきて知っている人も多いと思います。
そんな最上川との関係もお伝えしつつ、最上町について紹介していきます。
早速ですが、最上町には最上川は流れていません。
衝撃の事実ですが、位置的には一切関係がないのです。
一方で、最上小国川が流れており、釣り好きの人たちが集まる清流となっています。
そしてこの最上小国川に沿ってJR陸羽東線、通称「奥の細道湯けむりライン」が通っており、最上町もその線路沿いに見どころがたくさんあります。
まずは町の西側エリアから紹介。
ここには瀬見温泉という、源義経ゆかりの温泉があります。
牛若丸こと源義経は、兄の源頼朝の追っ手から逃げているときにこの辺りを通ったんだとか。
弁慶が発見し、義経の息子である亀若丸の産湯にも使われたお湯が湧き出ている湯前(ゆのまえ)神社で数日ほど養生し平泉へ向かったとのこと。
今では瀬見温泉の守護神として、湯前神社は存在感を放っています。
また川沿いには、薬研の湯という開放的な露天風呂もあります。
これは弁慶が岩を薙刀でかち割った際に、お湯が湧き出てきて形成されたんだとか。
そのすぐ近くには共同浴場「せみの湯」もあり、珍しいふかし湯を体験できます。
陸羽東線をさらに東へ進むと、これまた温泉地が。
その名も大堀温泉。
ユニークな木造駅舎の大堀駅から歩いて30分のところに位置しており、賑わいを見せています。
ここには保養センターもがみ、そしておらだずの宿りんどうという2ヶ所で温泉を楽しむことができます。
付近にはおらだの川公園という、キャンプ設備が充実しているところもあるので、セットで楽しんじゃいましょう。
ちなみに「おらだ」というのは山形の方言で「わたしたち」という意味なので、覚えておくといいかも。
そしてさらに東へ進むと見えてくるのが、赤倉温泉。
赤倉温泉といえば新潟県妙高市にある方を思い出しがちですが、山形県にもひっそりと存在するのです。
しかもどちらも近くにスキー場があるので、ほとんど同じじゃないかと突っ込んでしまいたくなります。
ただ、最上町は先述したように松尾芭蕉ゆかりの地が多くあり、ここ赤倉温泉にもゆかりの施設があります。
それは、「おくのほそ道」赤倉ゆけむり館。
芭蕉の湯、曽良の湯と男女交代制で入ることができる温泉があり、旅の疲れを癒やしてくれること間違いなし。
以上の3つの温泉地、瀬見温泉、大堀温泉、赤倉温泉は総称して、もがみ温泉郷と呼ばれています。
瀬見温泉、赤倉温泉ではこの付近の温泉地で利用することができる湯めぐりチケットも利用することができるので、ぜひ活用して温泉を堪能しちゃいましょう。
では、温泉地以外の見どころを一気に紹介。
まずは、赤倉温泉駅の近くにある、富山馬頭観音。
馬を守護する本尊が祀られており、お堂の中は一面奉納絵馬で、その光景に圧倒されます。
境内にはトチノキの巨木もあり、何だかパワーを貰える気がします。
またここは最上三十三観音の31番目でもあり、その時の名を富沢と言い、さまざまな一面を持ち合わせているところとなっています。
次にその最上三十三観音の32番目、太郎田観音を紹介。
ここは最上町の中央付近にあり、そこまで大きいところではないですが、とぐろを巻いた蛇の胴体にあごひげを携えた翁の頭部が乗っている、珍しい形の円形懸仏を見ることができますよ。
他にも、松尾芭蕉が逗留したとされる、封人の家。
おくのほそ道最難所とも言われた、山刀伐(なたぎり)峠。
カツラの中でも日本一大きいとされる、権現山の大カツラ。
平坦なところにあるのは全国的に見ても珍しい、堺田駅前の分水嶺。
キャンプ場や乗馬体験ができる家族でも楽しめるところ、前森高原。
神室山をはじめとした登山に最適な山々が連なる、みちのくのアルプスなど。
自然と文化に恵まれた場所が多々ありますよ。
以上、最上町について紹介してきました。
知る人ぞ知るもがみ温泉郷や、松尾芭蕉ゆかりの地など、実際に知るきっかけがないと普段知り得ないようなスポットが盛り沢山なところだと感じました。
特に、最上町なのに最上川が流れていないという衝撃は脳裏から消えないほどに。
その代わりと言ってはなんですが、この地に流れる最上小国川がもたらす恵みを受けて、最上町では特産物も豊富にあります。
グリーンアスパラガスや最上赤にんにく、山形もがみ牛や最上早生そばなど。
ぜひ現地に行って味わってみたいものばかりですな。
アクセスですが、先述しているようにJR陸羽東線が横断しています。
山形県方面からなら、新庄駅で乗り換えですね。
特に福島駅から出ている山形新幹線の終点が新庄駅でもあるので、そちらの方面からお越しの方は利便性がいいかもしれません。
宮城県方面からなら、古川駅乗り換えでアクセスできます。
こちらも東北新幹線が通るので、活用できればグッドでしょう。
他にも東根市に位置するおいしい山形空港から、車で1時間ちょっとでアクセスできるので、飛行機利用の方は検討してもいいかもしれません。
ぜひ最上町に訪れてみては。